がん闘病記と日々雑感

がん闘病記と日々雑感

~右往左往の備忘録~

母と娘

昨日は母の家に行った。私から母の家に行くのは久しぶりで、ガン発覚前以来だ。仏壇の父にお礼を言った後、一緒に食事をした。事件はそのあとに起こった。

 

その前に母と私の関係性を説明すると。

母の性格は一言でいうと頑固で負けず嫌い。そして私も頑固で負けず嫌い。それ以外にも色々あるが、主にはその性格のせいで、私達の間には仲の良い母娘のほのぼのとした会話が成立しない。

例えば母は、10年位前から(現在83歳、持病なし)「あと5年位で死ぬだろう でも死ぬのは怖くない お父さんにも会えるし」などと言うようになった。こういうことを言うのはこの年齢では普通の事だと思う。要は年寄りなんだから大事にしてねと言いたい。実際、義母(87歳)も言う。これに対する正しい嫁の返答は「そんなこと言わないで長生きしてくださいね。まだまだお元気じゃないですか」だ。義母には迷わずそう言う。で、ありがとうね、などと言って話は丸く終わる。が、実母には出来ない。

母「あと5年位で、、、」

意地悪娘(私)「あ、いつもの死ぬ死ぬ詐欺?」

こうなると話は終わらない。

母「だって私、xx歳だよ!」

意地悪娘「どっか悪いの?」

母「いや、特には、、、」

意地悪娘「じゃ何でそう言うこというの? 年寄りだから大事してねって素直に言えば〜?」

 

この死ぬ死ぬ詐欺は、私がガンになってからも一悶着あった。

母「5年後のお父さんの法事、私行けるかなぁ、死んでるかもねぇ」

意地悪娘「は~!? 5年後に死んでる可能性は私の方が高いんですけど!」

その後、「私(母)の年齢を考えろ」「いやガンの方が死ぬ」と延々と不毛なやりとりがあり、さすがに母もガンの方に軍配があがると思ったのか、それ以来、母の死ぬ死ぬ詐欺はなくなった。(ホッ)

 

認知症になるかどうかでも一悶着。

母「私は絶対人に迷惑をかける死に方はしない! ぽっくり行くんだ!」

意地悪娘「誰でもそう思ってるよ。大体死に方なんてコントロールできないじゃん」

母「私だけは大丈夫! 万が一認知症になったらこっそりどこかで死ぬ!」

意地悪娘「どうやって?」

母「えっと。。。。。富士の樹海に行く!」

意地悪娘「認知症なのに一人で富士に行けると思ってるの? 電車?バス?タクシー?」

その後は、延々とどうやって富士に行くかという、1000%不毛の会話。

 

いや、私だってこんな下らない会話はしたくないですよ。ストレスだし。だがどうしてもこうなってしまう。私が「そんなこと言わず長生きしてね」「認知症になってもちゃんとしてあげるから心配ないよ」などと言えばいいだけなのだ。それで会話は平和に終わる。そんなの「今日は良い天気ね」「明日も良いといいね」と同じ位の、何の意味もないやりとりなのにね。

 

そして今回の事件のこと。

先月母が私の家に来た時、私はいつものように土鍋で玄米を炊いた。これには私なりの理由がある。マクロビ派にとって玄米を炊くというのは厳粛な行為。炊飯器は使わない。色々な願掛けをしながら火加減の調整をし、1時間近くかけて炊く。そんなふうにして炊いた玄米は本当に美味しいし、体の隅々にまで食の力そして天からの恵が行きわたる気がして、私は土鍋で玄米を炊くことが大好きだ。だがそれを見た母が、不便なことをしていると思い込み、私へのプレゼントとして炊飯器を買ったのだ。帰りに「これ買っておいたから。土鍋で炊くなんて面倒でしょ? 持って行きなさい」と言う。土鍋で炊く理由をさんざん述べたが、全く聞く耳をもたない。炊飯器の方が良いの一点張り。これ以上話すとまた不毛1000%の会話にしかならないと思い、私は「とにかく要らないから!」と言い捨て、炊飯器を受け取らずに帰った。

 

帰宅後。さすがの私も反省した。母の(いつもの)思い込みとは言え、母なりに私のことを思い、炊飯器を買ったのだ。電気屋さんで色々と悩んだりしただろう。83歳の腕には重かっただろう。それなのに私は一言のお礼も言わず受取りもせず帰った。母は今頃落ち込んでいるだろう。なんで私はこんなにいやな娘なんだろう。使わなくてもいいから「ありがとう」と受け取れば良かったんだ。小一時間ほど、今までのことも含め反省した後、母に電話した。

私「お母さん、ごめんね。せっかく買ってくれたのに。やっぱり炊飯器貰うわ」

これに対し、私が想像していた答えは以下であった。

想像の母「ううん、私こそごめんね。無理しなくていいのよ。返品してくるから」

だが、実際は以下であった。

実際の母「だから言ったじゃない! わけわかんないこと言ってないで炊飯器使えばいいのよっ!」

 

あ~反省して損した(-_-メ) 

この母が「落ち込む」わけなかった。この母にしてこの娘あり。(単なる愚痴でした)