今思えば。生活習慣<生活環境
がんセンターの問診票で、今までになかった質問項目があった。普通に聞かれる生年月日や生まれた場所以外に『10才(小学生の頃、だったかもしれない)の時、住んでいた場所は?』というもの。がんセンターでは成長期の生活環境を問題視しているのだ、と推測した。何のために? 究極にはガンの原因追及。とりあえずは、ガンになりやすい環境の傾向を出すのだろう。分析が出るのは先の事にはなるが、私は、生活習慣説よりもよっぽど納得できる、と思った。
(ちなみに私は、生活習慣説を全否定しているわけではないです。明らかな傾向はある。大酒はガンになりやすいですよ、などを医師が世のため・人のために発言することは良いと思う。多少の誤解はされてでも多数派を救うことが出来る。)
そこで私の成長期の『生活環境』を振り返ってみると。
私は1964年2月、東京の下町で生まれた。10才の時も東京下町だ。
時は高度経済成長期、10月にはオリンピック。
- 1963年、生まれた年の前年(母のお腹にいた頃)。米ソ緊張による核実験が最大化。北半球の放射能汚染も最大化した。
- 1964年2月誕生。東京オリンピック開催に向け、道路整備と建築ラッシュで交通戦争勃発。トラックによる渋滞につぐ渋滞。
- その後10才まで。高度経済成長期のため、道路は常に渋滞。車は今はなき有鉛ガソリン車と排ガス規制されていないディーゼル車。その車間を縫うようにして通学していた。
- 川崎と向島工場地帯からの煙が東京下町に蔓延。煙は有害物質除去などされていない。週に2~3回は光化学スモッグ警報のサイレンが鳴る。体育と外遊びは禁止。学校が終わったら自由。
- 工場からの垂れ流しで、川はいつも臭い。基本どぶ色。サイケデリックな色も見たことがある。死んだ魚がたくさん浮かんでいた。
- 野菜は農薬満載。母は専用の洗剤で洗っていたという。農薬を落とすためというより、味がまずいから。農薬が体に悪いなんて知らなかった。
- 水道水はカルキ臭い。ミネラルウォーターなんてない。みんな大好きカルピスは、その水道水で作っていた。
- 学校帰りの買食いはド派手なピンクや青色。一体何が入っていたんだろう?
- 副流煙なんて言葉はない。子どもがいてもお構いなし。どこもかしこも灰皿だらけ。バス停と駅構内には痰ツボと灰皿がセットで置かれていた。(痰ツボはついでに。害はないと思う。)
これが「ALWAYS 三丁目の夕日」の現実だ。いや、映画は好きですけども。
大事な成長期にこんな環境だったら、ガンだけじゃなく、色んな病気になりそうだ。
私は小学生の時に公害を題材に作文を書き、区の何とか賞を取ったことがある(エヘン) 作文が上手かったというわけではなく、社会問題化していた公害のことを書けば大人受けすると思った小賢しい子だった。閑話休題。
なので私は、ガンの原因は生活習慣<生活環境にあると思う派である。ただし、これが立証されるには時が必要。私が老齢になったころ、1960年代東京生まれの傾向は、、、等々の話がでるのかも、と思っている。
そしてここまで書いておいて何だが、この統計は、中途半端な形では世に出て欲しくない、と思っている。なぜなら、また新たな弊害が生まれるから。例えば1960年代東京生まれがガンになりやすい、と出たとしよう。すると、1970年代秋田生まれの人は「じゃ、私は大丈夫!」と思ってしまうかもしれない。またドンヅバの人々は、なんであんな場所にいたんだろうと、いらぬ反省をするだろう。親も巻き込んでの反省になるかもしれない。
環境も習慣も、原因を追究するために調べていること。途中経過で出た「傾向」なんて世に出すべきじゃない。
そして何よりも私が望むこと。
早くガンの根本原因が発見されて、特効薬が開発され、予防注射なんかも出来て、「昔は習慣だの環境だの言ってたね」と笑えたらいいなと思っている。